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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2013/10/21

バンブーロッドって・・・

シンプルな外観ですよね、バンブーロッドって。


バンブーロッド(≒竹竿)のメリットって、なんなんでしょうね。

このところ、ニジマス釣りにハマっているので、グラスロッドやグラファイトロッドを実釣で使う機会が多く、その性能を実感して良さを再認識しました。

そのなかで、

『なぜ竹竿なのだろう?』
『どうして、竹竿でなければならないのか・・・』

という疑問が、自分の中でふたたび頭をもたげてきました。

飛び抜けた個性や釣りやすさを持っている竹竿は、もちろん存在しています。
でも、竹でできた竿のなかにも、その竿の性能面で、その素材が竹であるという必然性を感じないものが多くありました。
ただ、竹でできた使える竿がある、という程度で、それがグラスでもグラファイトでも、僕にとって使い勝手としては大きな影響はありませんでした。

よくいわれるように、竹竿はバレにくい。

確かに、そのように感じます。
でも、それは竹竿に限ったことではなく、グラスロッドも同じようなバレにくい特性を持っているのではないでしょうか。


正直にいえば、僕が釣りに竹竿を使うことが多いのは、

『竹竿が美しい』

から、だと思います。

自然環境の中に置かれた竹竿は、本当に、惚れ惚れするぐらいきれいです。
その美しさは、竹という素材の持つ、ランダムな模様や色彩にあると思うのです。
ランダムな模様や色彩で構成された自然環境や魚の傍らに置かれた竹竿。
その美しさは半端なものではありません。

仮に、そこにグラファイトロッドを置くとどうなのでしょう。
そこに存在するグラファイトブランクの無機的な感じが、視覚の中で違和感となっているのではないでしょうか?

と考えたときに、米国製の高級グラファイトロッドのリールシートが持つ意味に行き当たりました。

そう、それは、無機的な道具の中に、たとえ一部分でも銘木で作られたリールシートという有機的でランダムな色と模様を持ってくることによって、自然界の中でグラファイトロッドを少しでも美しく見せようという試みだったのです。

それは、縞模様のある瑪瑙のリングが嵌められたストリッピングガイドにもいえると思います。










2013/10/10

グラスロッドのこと その1




ここ数年、グラス素材を使ったフライロッドがブームになっているような気がします。

その実態といえは、新らしい素材やブランク構造も目新しいものがなくなり、新しい釣り方の提案もひとまわりしてしまって、新規の大きな需要を喚起できなくなったフライ業界が、一部の好事家以外の釣り人にとっては既に終わってしまった過去のモノとして忘れ去られていたグラスロッドに目を付けた、ということだけだと感じます。

いろいろなメーカーのコピーを見ても、グラス素材が最新のグラファイト素材より優位だと積極的に書いているメーカーは少なく(いや、ごく小規模なビルダーを除いては、ないかもしれません)、なんとなく積極性に欠けるものが多いですよね。

キャッチコピーに多く見られるのは、
『バンブーロッドのようなフィーリング』
でしょうか。

◯◯◯のような×××

簡単にいえば、代用品。
もっとあからさまにいうと「まがいもの」、似て非なるモノってこと。
本音は、自社の最新のグラファイトロッドの方がすぐれているよ、ってことです。

つまらないですよね、こんなのって。


もうひとつは、なんとなくよくわからないけど魅力がある。
という表現でしょう。
いちばん多いのは、ノスタルジックな、伝統的な、という言葉でしょうか。

同じような表現は、これまでバンブーロッドについてもよく語られていたのですが、プラクティカルな釣り人にとってはあんまり意味を持たない言葉です。
ただ、竹竿の世界においては、竹竿にしかできない機能を持ったフライロッドを具現化するメーカーが生まれてきています。

そして、フライロッド以外の釣竿の世界では、グラスロッドの持つ特性がその釣りにとって最も優れているという場合があり、そのために新しいグラスロッドが創り出されている、という事実もあります。


フライロッドとしての必然性をグラス素材で作られるロッドの中に見つけ出せるのかどうか。
そしてロッドメーカーがこのことを見いだせるかどうか、が、フライロッドとしてのグラスロッドが持つべき未来への展望だと思います。



2013/10/09

Old Glass Rod by Mario Wojnicki



1980年代の"Mario Wojnicki"のグラスロッドです。

当時の"Scott"や"Winston"などの西海岸製のグラスロッドと同じ、Kennedy Fisher"のグラスブランクが使われているようです。
ちなみに、素材はEグラスでしょう。

このロッドは、長さ8.3フィート、5番ライン用の2ピース2ティップ仕様の竿ですが、それらの2本のティップは、写真に見られるように、それぞれに"DRY"と"WET"の表記があるディフェレント・ティップになっています。

このブログにこの竿を取り上げたのは、コレクションやお宝の公開という意味ではありません。
(だって、このマリオは僕の竿じゃないのです)
このところ、ちょっとコレはいいんじゃないか、と思う何本かのグラスロッドに出会ったことが切っ掛けになって、
自分の中で、コレは!と思ったグラスロッドを片っ端から振ってみて、
『グラスロッドのエッセンスを抽出してみよう』
というプロジェクトを企んでいるからです。

記憶の中のグラスロッドをいま振ってみてどうなのか、
そして、いまグラスロッドを使ってフライフィッシングをすることにどんな意味があるのか。
意味があるのなら、どのようなグラスロッドが、なにをするために必要なのか。
それが知りたいのです。
そして、自分なりのベストなグラスロッドというモノを見つけ出したい。

『なかったら、創ってしまえ』
なんて、ことになるかもしれません。
バンブーロッドの安価な代用としてのグラスロッドじゃ、面白くないですもんね。



このフェルールの感じ、
なんとなく San Francisco 時代の Scott のような・・・

この竿は、"Paul Young"の名竿、"Parabolic 15"をグラスロッドで表現しようとした竿だといわれています。

実際に振った感触は、僕の記憶の中の、ズドンとした大砲のようなパラ15やサマーズの856とはかなり異なっていて、このマリオの竿はかなり軽快に感じました。

バンブーロッドであるパラ15は、軽量なポールヤング時代のものといえども、さすがに自重がかなりあって、川で長時間使い続けるには体力的な無理がありましたが、この竿はグラスロッドなのでそこまでの自重がないので僕の中では実用範囲に入ります。

ヤングのパラボリック系のアクションをベースにした竿でディフェレント・ティップの付いた竿、ほぼすべてに渡る印象なのですが、
「ドライティップはあくまでサブ的なもので、本来のティップはウエットティップなのではないか」
と、この種のロッドを振る度にいつも感じていました。
そして、この竿からも、やはり同じような印象を受け取りました。

ウエットティップを使ったときと比較すると、どうにも、ドライティップの方は竿の先っぽだけがヘコヘコとした感じで弱く、いいかげんに振るとラインが暴れるような感じがして完成度が低いように思うのですね。
そのティップの違和感から来るフライラインの乱れは、もちろん、振り方で制御はできるのですが、やはり、めんどくさい。

べつに、ウエットティップにドライフライを付けて釣っても、なんの問題もないと思うのですが・・・

なぜ、こんなドライティップが付いているのか、ちょっと理解不能なところがありますね。
ティップだけを使って、かなりの近距離でドライフライを使う、ということなんですかねえ?
それとも、ドライフライを使うときにはラインの番手をひとつ落として軽いフライラインを使う、ということなんでしょうか?

まあ、そもそもウエットティップという意味も僕にはよくわからないのですが、ウエットフライ用というよりは、遠投用、重いライン用、という感じを受けます。
もしくは、ヘビーなニンフを付けたタックルを使うためなのかもしれませんね。

当時の文献をよく読めばなにか得るものがあると思うのですが、いつも斜め読みなので未だにドライティップとウエットティップの意味がよくわかっていません。



2013/10/07

Wood Stick in けいほくクラフト



















京北にある京都府立ゼミナールハウスで開催された『けいほくクラフト』に、おもにフライフィッシングに関連するタックルやパーツを作っているメーカーやビルダーさんたちが「スポーツフィッシングプロモーション」としてブースを出されたので、チョコッとおじゃましてきました。




会場の近くの水場から「ガサガサ」で獲った魚やイモリを展示した水槽には、たくさんの親子連れがいつも集まっていました。

しかし、『カワムツ』が1匹数百円から千円以上で淡水魚販売店で売られている・・・、なんて話を聞くと、カワムツを100匹釣ったら◯万円、なんて妄想して、アマゴ釣りなんてやめて「カワムツ漁師」(笑)になろうか、と、ふと考えてしまいます。

って、いうかね。
『カワムツ』なんて売るなよ!!
と思うのですが、カブトムシやクワガタをお店で買う時代、これも世の趨勢なんでしょうか。





九州から来られた、"Ponta Craft"さんのランディングネット
九州の方のイメージ=男性的、と思っていたのですが、このイベントを通して知り合った方々は繊細な感性と技術を持たれている方ばかりでした。
漠然としたイメージって、なんていいかげんなものなのでしょう。

何枚もの竹を貼り合わせたフレームは軽やかな繊細さの中に秘められた柔らかな強さがあり、グリップのラインには色気を感じます。



生のアルミニウムを磨きあげた、『ブライトリバー』さんのリール

こういう素材感を生かした作品は素敵ですよね。

金属加工をしているものとして、
よくこんな手のかかる面倒なことをするなあ・・・
と、あきれながら感心しつつ、この仕事をした職人さんに対して頭の下がる思いです。

アルミニウムと他の金属の光沢や色調の違いが引き立ちますね。

このリール、長い年月を釣り場で使い込んでいったときに刻み込まれる味わいを想像すると、こたえられないものがあります。



チャーミング!!
「ブライトリバー」さんのルアーです。
なんてチャーミングな顔をしているのだろう・・・

こういうルアーをぽっかり浮かべたり、チャボチャボしながら、大きなバスが水面を割る瞬間を待つのも楽しいでしょうね。



バスとフライの世界における、異能なおふたりさま
真剣な顔をして語り合いながら、
すごく短い、なのに、すばらしく官能的なフライロッドを振る、松本さんと北岡さん。

ですが、あえて、説明はいたしません・・・(笑)