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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2013/12/24

「バンブーロッド教書」を読んでみた




この2013年の12月に出版された『バンブーロッド教書』と、どうしても比較されるのが、
1999年に同じ「フライの雑誌社」から出版された『アメリカの竹竿職人たち』だと思います。




この2冊の本が出版される間に、14年の歳月が流れたのですが、その14年間に竹竿(竹類を素材とするフライロッド)の世界で大きく変化したことがあります。

それをひとことで表すと、「バンブーロッドの伝統」からの解放だと思います。
もう少し付け加えるならば、レナードやペインが代表する近代アメリカの伝統的なバンブーロッドという縛りから、メーカーやビルダーが自由になった、ということです。

その結果として、約100年にもわたって伝統的に使われてきたトンキンケーン以外の竹篠類をブランクの素材にもちいたり、これも伝統的に使われていた金属フェルール以外の様式のフェルールを使用したりといった、素材部分の変革とともに、フライロッドとして以前では考えられなかったタイプの新しいアクションを持った竹竿を作るメーカーが現れてきました。

その背景として、ネット社会の発展によりメーカーやビルダー間のデータや技術の共有が進んだからだ、などの理由も考えられますが、そのあたりの考察はまた後ですることにして、この本の書評、というよりはひと通り読んでみた感想ですね、に進みたいと思います。


まず最初に、定価3,800円の書籍を予約販売のみで売る、という販売方法にはちょっと引っ掛かりました。
本なのに立ち読みで中身を確認してから買うという方法が取れないというのは、それなりに高価な紙媒体の書籍としてはいかがなものかと思います。
いまどきの出版社の事情をわからないわけではないですが、リスクを購入者の方へ押しつけるという販売方法にはイマイチ納得できないですね。


内容に関してですが、クラッカーバレルの翻訳は、英語をスラスラとは読めない私にとってたいへん面白かったです。
ジュリアーニさんが書かれている部分は、バンブーロッドの取扱方法に関してなど、バンブーロッドへの偏愛からかもしれませんが、かなり「くどすぎ」て余計なお世話なように感じましたが。

バンブーロッド(竹竿)って、ごくふつうに注意して使えばめったに破損することはないので、このジュリアーニさんのように慎重に構えずに、もっと日常的に竹竿を使って欲しいなあ。
というのが、竹竿の好きな釣り人としての個人的な感想であり、この本を読んでバンブーロッドをはじめて買おうと思い立った方への私からのアドバイスになると思います。


世界のバンブーロッド最新事情と巻末のフライロッドの写真をもっと綿密にリンクさせることができれば、内容的にはもっと面白かったのじゃないかなと思いました。
おそらく、この国でバンブーロッド(竹竿)に興味を持っておられる方は、昔のファクトリーロッドではなく、今のメーカーやビルダーが作る竿の写真が見たいと思っておられるのじゃないでしょうか。

その他の部分は、島崎さんと三浦さんの文章以外は、なんだかどこかで読んだことのある文章や内容の再掲のように感じたのですが・・・。
いまの時代、いちばん大きく変わりつつある、この国の竹竿メーカーやビルダーのことをもっと取り上げて欲しかったなあと思います。


時代が変わった、こともあるのでしょうが、1999年に『アメリカの竹竿職人たち』を読んだときのように、読者である自分までもが著者の竹竿への熱情に感応して、そこに取り上げられていた竹竿を欲しくなって我慢できなくなってしまう、なんてコトは起こりませんでした。

それは、この本自身のせいではなく、情報や物が過剰になってしまったこの時代にはおこりがちなことなのかもしれませんが、なんとなく寂しいですね。


さて、この本、3,800円を支払う価値があったのか?
その判断は、この本を買われた読者の皆様におまかせいたします。



2013/12/05

フラットグリップ化は、どんどん進む

SCOTT G2 885 Flat Grip

手持ちのフライロッドのなかで唯一原形を保っていた SCOTT G2 まで、グリップを扁平に削ってしまいました。

5番ライン用のスコットはオリジナルのグリップが太くて長いので、購入してすぐに、グリップを握りやすくするために直径を細くする加工は施していたのですが、フラットグリップを知ってしまった身にはそれでよしとは出来なくなってしまったのですね。

SCOTTのグリップはアップロック部分の金具の肉厚がかなりあるので、コルクの直径を細くしたとしてもグリップの下端を握ることが多い私の好きなグリップ形状とはほど遠く、どうしてもモッサリとした感触が拭えなかったのですが、グリップをフラット形状に削ることでこのロッドの使用感はかなり改善されたと思います。

ただ、釣行の前に太いグリップを扁平に削っただけだったので、サイドのエッジが立ってしまい、朝から夕方まで長時間振り続けていると、指のエッジに当たる部分になんとなく違和感を感じるようになりました。

今回わかったのは、上下のフラット面と、サイドの曲面を繋ぐエッジの形状にも気を配らないとだめだということです。
それとともに、気づいたのは指が受け取る感覚の敏感さですね。

グリップが丸いのが当たり前、というところからいちど逸脱すると、グリップ形状の混沌たる世界にはまってしまった、というところでしょうか。



※リールの固定方法についての考察

リールシートがスクリューロックだと、ロックの方向は上下どちらでもリールが落ちることはないのですが、スライドリングでリールを固定する場合、両側リングやダウンロックだと、釣りをしている間にリールの固定が緩んで落としてしまうことがままあります。
特に、リールシートに堅いウッドを使ったリールシートの場合注意が必要です。

スライドリングでの固定で、リールがいちばん落ちにくいのは、実はアップロックなのですが、アップロックの金具がコルクグリップの中に埋め込まれるので、どうしてもグリップエンドが太くなるという弊害がおこります。

これまではグリップの真ん中を持つことの多い海用の高番手ロッド以外では、アップロックのリールシートには違和感があったのですが、フラットグリップを始めとする変形グリップを使うことによってその違和感が少しは緩和されるかも、と考えています。

2013/12/02

『フラットグリップ』その2

フラットグリップ仕様になってしまった、3本のフライロッド

フラットグリップのフライロッドを使い始めてから、ほぼ2ヶ月。
普通の真円グリップの竿と、フラットグリップに改造した竿を釣りをしながら比較していました。

最初に改造した竿は、前にも書いたように、8フィート、#2~3~4、というグラファイトロッドでした。

初期の感想は、

「フラットグリップの竿って外見には違和感があるけど、グリップしたときのホールド感もよく、キャストした感触も方向性が良くてなかなかいい感じだよね」

という程度で、
グリップを削ったのは失敗じゃなかったな、
こういうグリップもありだよね、という評価でした。

ところが使い込んでいくうちに、フラットグリップにした竿はキャスティングの方向性がいいだけでなく、なんとなく竿のポテンシャルが上がったように感じるのですね。

理由としては、グリップの中まで曲がり込むことで、竿のアクションする部分(負荷が掛かると曲がる部分)の有効長が長くなったからだと考えられるのですが、これはその竿がもともと持っているアクションの傾向にも左右されると思います。
どちらかといえば、ファーストテーパーな竿や、グリップ直上にスウェルが設定されている竿よりも、比較的スローテーパーで、グリップの中まで曲がり込むような設計の竿で、この現象はよりはっきりと現れるのじゃないでしょうか。

そんなわけで、私的フラットグリップ化の第2弾は、
ポールヤングの名竿ドリッグスのテーパーをベースにした、7フィート2インチ、#4~5、のカシヤマ・バンブーロッドにしました。



いちばん下に写っているバンブーロッドがそうです。

これが、またいいんですね。

この竿のもともとのグリップは、かなり細めのストレートシガーでした。
最大径19㎜とサイズまで指定してメーカーに削って頂いたグリップだったのですが、使っているうちに、このパワーのあるパラボリックなアクションの4~5番ロッドのグリップとして長時間使い続けるにはちょっと細すぎたかな、という感想を持っていました。

このグリップをフラットに削ったわけですが・・・、
すると、グリップが細すぎたかな、という印象はなくなり、まさにこの竿にドンピシャでフィットするグリップに変身してしまいました。
いい方に意表を突かれましたね、この変化には。

この竿のフラットグリップ化の狙いとしては、フラットグリップのグリップ感と操作性の良さを求めたものだったので、ブランクの直径ギリギリの限界までフラット化するということはせずに、グリップの上下にもそこそこの肉厚を残しています。

それでも、以前は4番ラインではラインを伸ばさないと負荷が軽すぎるかな、という印象があったのですが、フラットグリップ化したいまでは4番でもいいな、っていう程度にはアクション(竿から受けるフィーリング)も変化しているように感じます。




ブランク径とほぼ同じところまでフラットに削り込んだグリップ
先端部はコルクが欠けるといやなので、肉厚を少し残しています。

この最初にフラット化した竿は、ほぼ限界までグリップを削り込んでいるので、もしかすると、グリップの強度や耐久性に難点があるかもしれません。

ただ、ここまで削り込むと、フラット化したグリップが持つ特性が大きく表れるようです。


とまあ、こんな感じで、私の所有する竿のフラットグリップ化は進んでいるのですが、先日釣りをしているときにとんでもないことに気づいてしまいました。

その日は徐々に風が強くなり天候も悪化傾向にあったので、午後からは、それまで使っていた4番ラインに代えて、5番ラインを使おうと思い、フラットグリップ化していないノーマルな(といっても、グリップは握りやすいように細くしていますが・・・)SCOTT G2 885、を持ち出したのですが、午前中ずっとフラットグリップを握っていた手にはこの丸いグリップに、ものすごい違和感を感じてしまったのです。

このSCOTTで釣りをしている間ずっと感じていたのは、表現が難しいのですが、グリップにユルい竹輪のようなモノが付いた竿を握っている感じ、とでもいうのでしょうか。
フラットグリップに比べると、ものすごくダルい、余計なモノが手と竿の間に挟まっているという感覚ですね、それがいつまでも消えなかった。

これって、けっこうマズいんじゃないか。

とも、思ってるのですが・・・。