ブログ(2011年以前の記事)の書庫は、こちらです。

『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2013/05/17

ハイテクリールって、どうなの? その3


"Model 50"(ドラグなしクリックのみ、小径スプール) と、市川のニジマス

いつもの愛用リール、"Alchemy Tackle Model 50" を使用した前回の釣行の記録から。

『ドライフライで7匹掛けて、1匹は切られ、3匹は途中でフックが外れた。
ティペットが細いので、フッキングがどうしても甘くなってしまう。
6Xだとガツンとあわせるのは不可能なので、こんなものか・・・』

『最後のヤツは視界の片隅にライズらしい波紋が見えたのを直撃して掛けた魚。
ジャンプするわ走りまくるわで、逃走経路をふさぎながら川のなかを追いかけ回してたら、びしょ濡れになった。』

『切られたのは、手元で下に落としたラインが木の根みたいなのに引っ掛かって、走るマスにあわせてラインを伸ばしてやれなかったから。
いらないラインはこまめにリールに戻しとかんとあかんね~(--;)』


この日は、7匹掛けて、1匹ラインブレイク、3匹ばらし。
ランディングの成功率は、3/7 ≒ 43%


"HATCH 3+"(もちろん、ドラグ+ラージアーバー、カウンターバランスのフル装備) と、神河CRエリアのニジマス 


そして、今回、ハイテクリール HATCH 3+ を使用したときの記録はこれ。

『高性能なドラグは、海では必要やけと、川では絶対に要るとまでとは言えんね~
ただ、ラージアーバーは、手元や足元に余ったいらんラインの始末が楽になるのは確かやわ。
ラインの最後のほうまで癖つかないしね、
もうちょっと試してみるわ。』

『デカイのバラした!Σ( ̄□ ̄;)
おもいっきり上下に走り回ってジャンプ3回、対岸の石の下突入はくい止めたけど、凄い速さで足下に突っ込んできてラインテンションを緩めて針はずしよった…』

結果的に10匹掛けて、1匹ラインブレイク、5匹を途中でばらす。
ランディング率は、4/10 = 40%



これら2日間の記録とデータからわかることは、

「どっちのリールを使っても、ニジマスをランディングできた確率はほとんど変わらない」

ということです。

う~ん・・・、
ハイテクリールは効果なかったのか?

どうなんでしょうねえ。

クラシックなリールの愛好家としては、
「してやったり!!」
って、ところなんですが・・・

騙されてはいけません!
30年以上「しょぼいリール(笑)」を使い続けていた人のテクニックを侮ってはダメですよ。


釣りをしながら川を遡行しているときの実感としては、ハイテクリールを使うと、フライフィッシングの過程全般にわたってラインの処理にあんまり気を使うこともなく、その結果、釣り自体がかなり楽になったように感じました。
ポイントまでの距離が変わったときや、次のポイントへと歩き始めるときに、伸ばしたラインの回収が素早くなる、ということが大きいですね。
これには、スプール径が大きい、というリールのフォルムが影響しています。

ドラグに関しては、魚との関係が膠着状態になったときに、「指ドラグ」に神経を使うことなしに、片手で竿を持っていればいい、という安楽さが大きいかなあ、って感じました。
そもそも、6X程度のティペットで逃走するニジマスを流れのなかで止められるはずもなく、ドラグがあろうとなかろうと、ほぼフリーラン状態にする以外に方法はないですから。

ここで、ある一定のテンションが掛かっていると、完全フリーのときと比較して魚が遠くまで走らないのか?
という疑問はありますが・・・
どうなんでしょ??
僕にはわかりません。
強いて言うならば、魚が止まりたくならないと止まらないので、流れのある川では関係ないような気がします。

ただ、川に入って魚を追いかけるときは楽ですね。
これも、ラインのテンションに気を使わなくてもいいからです。

よくわからないのは、こういった細いティペットでの釣りで使うドラグテンションの設定値ですね。
海ならば、ティペットの強度があるので設定はわりと簡単なのですが・・・


このブログを書きながら、気づいたのですが、
ハイテクリールを使うと、釣りが楽になるのは確かなようです。
ただ、それが釣果に影響するかといえば・・・

どうなんでしょうね~(笑)


今日までの段階では、
トラウトフィッシングに関しては、ハイテクリールのドラグ性能はともかくとして、ラージアーバーのメリットは、ものすごく大きいと感じました。

そして、僕は、この程度のメリットでは、リールが重かったら使わないよね~、ってこと。

ペイトやマクニースのトラウトモデルのような、高性能なドラグは付いているけど自重が重たいトラウト用のリールは、やはりアウト・オブ・デイトな骨董品の範疇に入ってるな、ということです。


まだまだ、続きます・・・









2013/05/16

ハイテクリールって、どうなの? その2

今日は、HATCH 3+ の内部構造を見てみました。

スプールを外すと、こんな感じ。
スプールはセンターにあるノブを緩めることで簡単に外れます。
工具は必要ありません。


次にドラグ部分を開けてみました。
購入時に添付されている6角レンチで簡単に分解できます。


ドラグシステムは簡単に分解できます。
フレームのセンターに見える6角柱にワンウエイベアリングが内蔵されていて、
この部分を上下に反転させることによって、簡単に巻き取りの方向を変更できます。


ドラグ部分を抜き出してみると・・・
う~ん、水滴が付いていました。

ということは、この部分の密閉は完全ではありませんね。


水滴が付いています・・・σ(--#)

ドラグ内部は、ステンレスプレートと摩擦材を何枚も重ね合わせています。

この、PLUS 3 リールの場合は、ステンレスのプレートとカーボン系の摩擦材の組み合わせが3セット使われています。

このドラグ内部を分解するには特殊な工具が必要なので、分解はここまでです。



文字が読みにくいですが、ワンウエイベアリングはドイツ製です。
でも、綿棒で擦っても取れない、錆っぽい汚れが・・・


このリールは中古で手に入れた物なので、前オーナーが使用している間に水分が侵入して錆びたものだと考えられます。

ちなみに、リール本体の表面の程度から見て、使用頻度は少なそうです。
侵入した水分が抜けにくそうな構造なので、このようになったのだと考えられます。

この部分を見る限り、このリールをソルトウォーターで使用するには、ちょっと考えさせられるものがありますね。
ドラグ機構が中途半端に密閉されているので、これって、どうなのかなあと思います。

使用後にざっと水で流してOKという感じで長い期間がたつと、知らないうちに内部にダメージが及んでいるかもしれないですね。
私見ですが、このリール、メンテナンスフリーではないと思います。



綿棒で示している部分に、
防水用のOリングが嵌められているのですが・・・
水分の侵入は防げなかったようです。

2013/05/15

ハイテクリールって、どうなの? その1

市川、神河CRエリアのニジマス
『HATCH 3+』

いちおうリールメーカーの末端に連なるものとして、ひさしぶりに興味を持ったリールがコイツです。

ウォーターワークスの系統もデザインは個性的で、性能的にも問題なかったのですが、クリックの樹脂パーツが丸見えなのが興ざめでした。

この Hatch リールですが、機械屋としても、大きなモデルにも小さなモデルと同じドラグパーツを用いて、ドラグプレートの組枚数を増やすことで摩擦の生じる接触面積を拡げて必要とするブレーキ能力に対応しているという合理性、そしてフレームとフットを一体で削りだしているというところに興味を持ちました。

でも、

「フットが曲がったらフレームも交換かい」

って、突っ込みたくもなりますが・・・それは置いといて、まず外観のチェック。

加工精度は、良好ですが、マシニングの切削痕が残っているなど、手間暇の掛かる仕上げには甘さがあるのはご愛敬、ってことにしておきましょう。
なんてったって、大量生産品ですもんね。

同じフレームに、ラージアーバーとミッドアーバーがあって、糸巻き量が違う設定になっています。
僕の手にしたコイツはどっちなんだろう?
パッケージにはスプールの違いが書かれていないので、比較せずに1台を見ただけではよくわかりません。

この個体は、100ヤードほどのバッキングを巻いて、DT4Fでちょうどです。


実際に使ってみてどうだったか、ですが、
ソルトウォーターでは強力で精度の高いドラグは必需品だと感じています。
でも、このサイズのリールにまでドラグは必要なのかな?
という疑問は、僕のなかではいまだに解消されていません。

僕は、もともと昔のハーディや両軸リールというシンプルなフライリールを使って数十年間のフライフィッシングをなんとかやってきているので、ラインを引き出すときにバックラッシュが起こるリールは論外としても、ソルトウォーター以外では、ドラグに関しては、あればいいな、とは思っていますが、ドラグを付けるために自重が重くなってまでは必要ないだろう、という程度に考えていました。

じゃあ、なんでこのリールを手に入れて使ってみたのか?
ですよね。

最近、近場に『市川、神河CRエリア』という大きなニジマスが釣れる釣り場ができたので、極めてシンプルな、最低限の機能しか持たせていない、自社(アルケミータックル)製のリールと比較して、最近のハイテクリールの使い勝手はどうなんだろう、という知識を得るための、単なる好奇心を満たすため、でした。
自分が使っていない物について、あれこれいうことは嫌いですから。

それと、大型のニジマスを掛けたあとで、あまりにもランディングの確率が低いのをリールを変えることで改善できるか?
という、ポジティブなリサーチも兼ねています。

続きます・・・