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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2013/09/21

ハイテクリールって、どうなの? その4

LONARD MILLS & ALCHEMY
ふたつの Model 50





























ハイテク・フライリールの"HATCH 3+"をニジマス釣りでしばらく使い続けてから、
通い慣れたいつものエリアで、1日の釣りの前半を"HATCH 3+"、後半を伝統的なクリックだけしか持たない"ALCHEMY Model 50"で通してみました。

そして、この9月、ニューヨーク州のキャッツキル界隈やオーセイブルリバーでの鱒釣りを終えて、自分なりの結論を出してみました。

その結論は、クラッシクなリールもハイテクリールも、どっちもどっちだなあ、という漠然としたもの。

僕がこの"ALCHEMY Model 50"リールを作り始めた2004年当時、ドラグ付きのリールは小型とはいえ重いものしかなかったので、ライトタックルの釣りでは、ハーディやオービスなどが作っていたシンプルで軽量なクリックリールのもつ優位性は自分なりに明白だったのですが、最近になって軽量かつ軽いテンションでも効果的な優れたドラグを持つフライリールが出てきたので、どうなのかなあ? 
と思って始めた実験でしたが、

『トラウトフィッシングに使うフライリールは、基本的な機能さえ満たしていれば、ドラグの機能はあまり釣りの結果には影響しないんじゃないか・・・』

という、自分的には予想されていた結論にふたたび至ってしまいました。

ただひとつ、これも予想できていたことなのですが、フライリールの直径がフライフィッシングで釣りをするすべての過程において、使い勝手にかなり大きな影響を与えるということがわかりました。
このリールの直径は、ドラグのあるなしよりも釣りのプラクティカルな部分に大きな影響があると思います。
ラインへの巻き癖の付きにくさと、ラインを回収するときの巻き取りの速さが、フライフィッシングというけっこう面倒くさい釣りをやたらと安易に、簡単にしてくれるのです。
これは、フライフィッシングの経験が豊かな人ほど実感できるのではないかと思います。

フライフィッシングでいちばんやっかいなこと、
それは、リールからは引き出したものの、いまは必要のない、手元に弛んだいらないラインをどう処理するかなんですね。

この手元や足下にある、ループ状に弛んで緩んだライン。
これがあらゆるトラブルの元凶になってしまうのです。

フライフィッシング以外には、リールを使った釣りで釣りをしている最中に余ったラインが弛むということはほぼありません。
それよりも、ラインが緩んだら即トラブルで釣りにはならない、と言った方が適切かもしれません。

僕にとって、フライリールのラージアーバー化はあきらかな効果を感じるけれど、ドラグに関してはラインを引き出し、引き出されるときにバックラッシュさえしなければ必要十分だということです。

そう考えると、初代のLOOPリールって、ほんとうの意味でのフライリールの革新でした。
それに1900年代前半のHardyに見られる一群のラージアーバータイプのリール。
これらのリールを見ていると、いまさらながらに一部の釣り人やメーカーがリールの改良に掛ける情熱や意志は凄かったんだなあ、と、感心してしまいます。




2013/09/18

2013 Catskill Rodmakers Gathering その1

"Catskill Fly Fishing Center & Museum" 入り口の看板











































9月最初の週末に"Catskill Fly Fishing Center & Museum" で開催された"2013 Catskill Rodmakers Gathering"に参加してきました。


初めて参加した"Catskill Rodmakers Gathering"ですが、その印象を正直に言えば、

「え、こんなもんなの・・・?」

って感じでした。

その原因は、僕の英語に対する理解力の低さにあるのはもちろんなのですが、
『フライフィッシングの聖地』とも呼ばれる『キャッツキル』で行われるフライロッドメーカーの祭典なのだから、もっと凄い大規模なイベントなのではないか、と、僕はこの日本で勝手に想像していたのです。
その心の中で膨らんでいた妄想に比べれば、現実はぶっちゃけ、ちょっと、いや、かなりの期待はずれでした。



運動会のテントのようなタープの下に机を並べた、フライタックルや関連商品の展示販売用のブースに出展している人やショップも僕が思っていたより小規模で、このイベントに参加されていたビッグネームのビルダーも現役というよりは、すでにリタイヤした御大やもう注文は受けていない、なんていう方々がほとんどだったようです。

芝生のグラウンドでキャスティングが出来るサイトに展示されていてたバンブーロッドも、アクション、仕上げともに、う~ん、なんだかな~というものがほとんどで、第一線のプロビルダーの製品というよりは、このセンターで開催されているロッドビルディング教室の生徒さんの習作のように感じました。


よく考えると、そうそうたるメーカーがニューヨークの周辺地域でバンブーロッドを作っていて、伝説的な釣り人やフライタイヤー、そして著名なフィッシングライターが、キャッツキルで釣りをしていた時代は、いまより数十年前、もうずっと過去の話なんですよね。
そう考えると、"Catskill Fly Fishing Center & Museum"自体が、プラクティカルな現場というよりは、もう既にレジェンドになっているのでしょう。



でも、このキャッツキルでのフライフィッシング伝説そのもの、あのリーウルフの奥様のジョアン・ウルフさんに会えてお話ができたのには興奮しました。
おまけに同行した日本の友人の作ったロッドを振って、感想も述べてくださったのですから。



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でも上記の印象は、フライフィッシング関係の道具、特にクラッシックタックルの展示販売のイベントとしてこの"Catskill Rodmakers Gathering"をみた場合です。
タックルを見たり、売り買いしたいだけなら、他にもっと効率的なショウやオークションが全米規模で運営されているのですから。


このギャザリングのほんとうの意味は、実は他にあるのです。


同じ趣味を持った大人が、全米からこのキャッツキルに集まって、以前から知っている人も、この場が初対面の人も、みんなで同じ食事をとったり、キャスティング大会に参加したり、様々な講演を聴いたり、と、『フライフィッシング』というひとつの趣味を核にして、それぞれが楽しめる場なんですね。

特筆すべきは、このギャザリングに集まった人々、その平均年齢はかなり高く、60~70歳代、いやそれ以上80~90歳代なのではないか、と思われるの男性と、かなりの人数の女性が楽しそうにこのフライフィッシングのイベントに積極的に参加されていることです。

また、車イスに乗ったご年配の方を何人も見かけたことが特に印象的でした。
ハンディキャップを持った方やお年寄りもが楽しめる趣味であるアメリカのフライフィッシングの奥行きの深さを感じます。


アメリカでは、高齢になってもフライフィッシングを楽しめる場所や環境があるということがうらやましい反面、裏を返すと、フライフィッシングを楽しむ年齢層がアメリカでもかなり高齢化してきているのも事実のようです。

ただ、お仕事で忙しい年代の人々は、せっかくの休暇に、こんなところに集まって会話に時間を潰しているよりも、実際に釣りをしていたい。
みんなで集まって飲み食いしながら、楽しいけれどもとりとめのない会話でうだうだと時間を潰すのは、リタイヤしてからで十分だ、と思っているのかもしれません。