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『お道具&竹竿マニア』なアングラーが、フライフィッシングをキーワードに、
道具や森羅万象、さまざまなモノ、コト、を『辛口&主観的』な視点で書いています。

2014/12/27

"Alchemy Dharma 754 Parabolic" 開発の経緯(その1)

ロッドのパーツに使う、ハードラバー
アルケミータックルといえばハードラバー・リールですから、ね。


"Alchemy Dharma 754 Parabolic" UD Glass Rod 

Specifications
Material : Unidirecthional E-glass
Recommended line weight : DT-4 (WF-5 is good too ) 
Total length : 7' 5"
Pieces : 4
Blank Weight : 57g
Action : Parabolic / Medium~Slow


開発の経緯


私はこの20年ほどの間、ほぼすべての釣りをバンブーロッドと竹竿(トンキンケーン以外の竹篠類を素材として作られたフライロッド)で通してきました。
(ただし、海で使うフライロッドと、ヘビーなツーハンドロッド以外ですよ。)

グラスロッドもフライフィッシングを始めてからの長い年月の間にラスピークを始め過去の名品といわれるWinstonやScottのグラスロッドをその折々に買ったこともあり、たまには釣りに使っていたのですが、クラシックロッドから現代の個人メーカーまでの様々な種類やアクションの竹竿を使うなかで、あえてグラスロッドを釣り場に持ち出そうと思うことはほとんどありませんでした。

ところが、10年ほど前、Mario Wojnicki とバンブーロッドのことでやり取りしていたときに、
彼が、
「新しいグラスロッドが出来たんだ、これは凄くいいよ」
という話になり、
つい、いきがかりで、
"217P4 7.2 ft - 4 line - 3 pc. 
Exceptional rod with a unique taper for fiberglass. Medium fast, true parabolic action."

という竿を買ってしまったのですが、この竿がもの凄く良かった。




個人的には、あのラスピークのグラスロッドよりも、釣りに使っていて気持ちよかったのですね。
キャスティング時にラインの動きが手に取るようにわかり、スムーズなラインが真っ直ぐに伸びていく。
ランディング時にもバットのブレが一切なく、スムーズに魚を寄せてくれる。

「へ~、最近のグラスロッドってこんなに良いんだ」

と、『目から鱗』状態で、その頃売り出されたりしていた、S社やW社製の1970~80年代の頃と同じようなコスメで仕上げられたリプロダクションロッドを買ってみたのですが・・・、

残念なことに、これらのロッドは、20年前のオリジナルとは機能面で似ても似つかない、とても竹竿と持ち替えようとは思えないようなイマイチなアクションのロッドばかりで、即ヤフオク行き。

国産のグラスフライロッドも、たまたまなのかどうなのかはわかりませんが、購入した竿は、なんだか柔らかさを強調したようなダラダラした竿にしか当たりませんでした。

結局、このMarioの竿は、なにかのフロックで偶然できたものなのだろう、
ということで、私はこれまで通りの竹竿マニアに戻ってしまったのです。

それから、また時が過ぎて、2013年の秋、NYの "Catskill Fly Fishing Center and Museum" で行われたミーティングに参加したときに、同じ日本から参加した友人が、白いグラスで出来たフライロッドロッドを持っていました。
そのロッドをモーテルの庭で振ったとき、フライロッドを振っていているなかで、このところしばらく感じることのなかった、「なんだこりゃ・・・」状態になってしまったのです。

その白いグラスロッドは、ファーストテーパーにもかかわらず、やたらとスムースで、なんのテクニックも使わずに、自然に、スラックの入らない方向性のいいラインを、『ラインの先端まで神経が通って繋がっている感覚』を保ちながら、スーッと前後に伸ばしていったのです。

それは、ほんとうに、これまで化学素材で出来たロッドでは感じたことがないほどのナチュラルな感覚でした。

「え~、この竿って、いったいなんなんだ」

と、驚くと共に、強烈な疑問を感じたのです。

だって、この竿を開発したのは、基本的にはフライとはまったく関係がないはずの、トップウォータープラグ専用のバスロッドを作っている方だったのですから。

フライばっかりやってるメーカーでもなかなか出来ないものを、バスの人が作っていた。
これは、いまでこそ正直に言えますが、本当にものすごいショックでした。

そのとき同時に、そのM氏がフライロッドビルダーの設計で作った、という竿のプロトタイプも振らせていただいたのですが、こっちは、私的には、キャスティングにちょっとしたウイークポイントを感じる竿でした。
(のちほど、その方はキャスティングよりもフライの操作性に重きを置いて、その竿をデザインしたと聞いて、いちおう納得はしたのですが・・・)

で、そのM氏が作ったヘビーな4ピースのバスバギングロッドが、また凄かった。

こりゃ、もう、この方と一緒にフライロッドを創るしかない!

と、日本から遠く離れた、ニューヨーク、キャッツキルの地で思ったのです。


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